どうもお久しぶり(n日ぶりm度目)
今回は少し難題に取り掛かるぞ!
吹奏楽で演奏するポップスについて。
最近よく思うのは、吹奏楽のポップスに形容しがたい違和感を感じること。
この違和感について考えていく。
Q.お前は急に何を言っているんだ?
A.俺にもよくわからん。
1.きっかけ
今年の吹奏楽コンクール課題曲に「レトロ」という曲がありまして。
レトロ(作曲:天野正道 2023年課題曲Ⅲ)
作曲者の天野先生はプレトークで
「吹奏楽のなんちゃってポップスじゃなくて、本格的なジャズポップス」で書いたと。
もちろん違いの判らない男なので最初聞いた時は「???」という感じ。
今は「??」くらいの理解度。
それから
「エレキベース・ギターで音のキレが良くなる」と。
いわゆる「なんちゃってポップス」にはキレが足りない、というなんとなくの理解。
2.違和感の正体
さきほどの話から、吹奏楽アレンジの違和感の正体は「キレ」なのではないか?
そう考えたもののこれで解決とはならないわけだ。
聴いている違和感の解決と同時に、あわよくば自分の技術としようと考えてるのに
「キレの有無=ベース・ギターの有無」が答えならお手上げ状態になってしまう。
吹奏楽器に解決策無し、からもう1歩2歩進める必要がある。
3.ポップスとは?
そもそも一般的にポップスとは何なのだろうか?
・一般的に一貫性のある楽曲が多く、リズミカルで、シンプルな構造、主流のスタイルが用いられる。
・ポピュラー音楽は人気がある全ての音楽を指すと定義される。ジャンルとしてのポップ・ミュージックは極めて折衷的であり、多くの場合は他ジャンル(ダンス・ミュージック、ロック、ラテン音楽、カントリー・ミュージック等)からの要素を取り入れる。
うーんなるほど?
ジャンルの曖昧さはかなりあるけど、曲調は「ノリがよい(=リズミカル)」が一番の特徴と捉えて良さそう。
4.音形とアーティキュレーション
ポップスによく見られるリズムパターンについて。勢いをバシッと止めるやつ。
これよく見るんだよね~というやつ2つ。
画像はレトロの冒頭すぐにあるリズム。
①八分音符2つ、タタッ(ダダッ)
②休符+八分音符、ッタッタ
URL貼った演奏は
①1つ目テヌート→2つ目スタッカート
②スタッカート
に聞こえる。スローで確認したから多分合ってる。自分でもそう吹くと思う。
4-1.ギター系
実際に弾いたこと無く、他人に聞いた感じと演奏動画を見た感じ。
八分音符はほぼ全てテヌートになりそう。
そもそもスタッカートという概念があるのか…?
こんなイメージ。ほぼ四角にアタック付いた形。
音を止める時に若干音が出る時もある?らしい。止め方によるのか。
立ち上がりはともかく、吹奏楽器で同じように切るのは難しい。
(だからキレの問題が出てくるのだと思うけど…)
とりあえず出来ることとして、全く同じは無理でも理想の形があってそれに限りなく近付ける。ここが落としどころだろうか。
もう1点注目したい場所がある。
2つ目のアーティキュレーションが違う。スタッカートとテヌート。
これどうなんだろう。短く切るのが普通だと思ってたから正直わからない。
裏拍の八分はテヌートの方が表拍を感じられてノリが良い。
ポップスのノリはこういうところからも出てるのか?
そう考えると、レトロ冒頭の①②合わせた裏拍の部分で若干停滞してる感じがある気がする。しかし実際にテヌートにしたらどう聴こえるか、という情報が圧倒的に足りてないのがもどかしい。
遅いテンポでも音の切りでノリを感じられる良い例がこれかも。
Smoke on the Water(Deep Purple)
4-2.吹奏楽
八分音符のスタッカートはノリがよく聞こえないかというと、そういうわけでもないことは色々な音源を聴くと感じる。
例えば吹奏楽コンクールの課題曲マーチ2つを挙げる。八分音符2つにスタッカートを付けて強調している部分が数ヶ所。
マーチ「ブルースカイ」(作曲:高木登古 2007年課題曲Ⅳ)
0:49 , 1:55 , 1:59
ブライアンの休日(作曲:内藤淳一 2008年課題曲Ⅰ)
0:51 , 2:22 , 2:29
(なんだか2曲とも曲の終わり方が似てる)
スタッカート2つでもキレ良く感じる。
ただポップスではそのリズムがメインになっている感じがあるのに対して、このマーチではその直後を目出せている気がする。後ろに休符が無いからギターほどのキレが無くてもキレとノリを感じられるということかな。程度がギターほど無いだけで。
つまり楽譜に指定がある否かの差もあるけど、同じリズムもジャンル・曲によって役割が異なるので自然とアーティキュレーションも異なる…ってコト!?
上手く聴こえるようにする工夫はあれど、曲によって違うというのは考えてみれば当たり前だったかもしれない。
そういえばポップス(というよりはジャズ)は休符の音楽、ということを聞いたことがあるような。休符の作り方というものを考えるとキレの重要さ、吹奏楽とは違う休符の存在感も納得できる…かもしれない。(自信が無い)
5.音量
決めの八分音符が2つ並んでたとして、2つの音量バランスはどうなるのか。
吹奏楽でよく教えられたのは2つ目が小さいパターン。しかし実際ポップスで2つ目が小さいは無くない?(反論)
さっきのマーチでも、同じか2つ目が大きいくらいに聴こえる。
ここで1つ参考にする曲。
グッドサイン(作詞:mekakushe / 作曲:松坂康司 / 編曲:佐高陵平)
1:17と2:00に八分2つが並んでる。「届きますように」の「ようーに」の「よう」部分。
ここで注目したいのは「うー」にハイハットのオープン→クローズがある部分。
つまり2つ目が強調されているのでは?と。
それでさっき散々2つ目が小さいのはどうたらこうたら言ってたわけだけど、
実際にそれっぽい音源聞いてみる。
「あー……」という感想が出てきた。
揃ってて綺麗だけど、思ってるものでは無い何か違う感じ。
これが最初に言った違和感だろうか、何故か合点がいってしまった。
ex.シンバルとの連動
もう1つ話を進めてみる。
今更触れると、ギターと吹奏楽器で「出している音を止める」が同じところ。
ある程度音を伸ばせるから止められる。
ある程度音が伸ばせて止められる。そんな楽器の話をさっきしたような…
ハイハットのオープンクローズの話!シンバルも似たような動きが出来るのか!
もう少し戻るとマーチ「ブルースカイ」でもシンバルの音を止める動きが聞こえる。
それがどうしたという話なのですが、
レトロで実際に天野先生が指揮を振っている演奏がある。
0:22で手をたたく場面がある。
これは「音の長さを余韻を作らずバシッと切っていい」ということらしい。
(別動画のクリニックより)
本来は全音符で4拍目裏まで音がある。この手を叩いた場面が4拍目頭。
その後ろ、同じ場面でドラムのハイハットが3拍目裏オープン→4拍目頭クローズ。
バシッと切る目印としてこのドラムを書いた、という推察。
「シンバルの音を止める」ことがどうやら大切そうだ、というここまでの理解。
その目印を見失わずに吹奏楽器も連動させることが大事かもしれない。
ということでここで1曲聴いてみる。
オーメンズ・オブ・ラブ (T-SQUARE / 作曲:和泉宏隆 / 編曲:真島俊夫)
曲の要所で音を止めているのがわかる。(0:31 , 0:45 , 1:23 , 最後など)
6.最後に
あーでもないこーでもないと唸りここまで書いてきて、「まあ多分こうだろう」というものは見つけられた気がする。(曖昧な言い方)
今の自分の考えを実際の演奏に落とし込んでいった時に「あれ、何か違うな…」となるところが必ず来るので、それはまたその時に考えようかな。
【おまけ】
グーグル先生に「吹奏楽 ポップス」と入力するとサジェストに「吹き方」「ダサい」と出てくるので、行きつくところは皆同じか…と。
そこで世の論者さんは何を語っているのかサーフィンサーフィン。
・ジャンルに合わせて「それっぽく」演奏する技術が大切。打弦撥弦の表現は難しい。
・アタックの強さが足りない。
・重心が2,4拍ではなく1,3拍になりがち。
・中音域が厚すぎる。
・編曲がダサい vs 演奏がダサい
ダサいから吹奏楽自体なくせという過激派も。色々意見があるんだな。
とあるブロガーさんの
「ポップスはクラシック以外ということ。ジャズもロックも同じポップスに分類されているので、まずはそのジャンルの特性を把握するところから。細かく突き詰めればジャズでも時代や地域によって違う。」
という内容は一番しっくり来たかも。
自分でポップスについて調べてジャンルの曖昧さとかなんとか言ってたな?まずはポップスという認識から細かくしていかんとかね。
ということでおしまい!