今年の課題曲を聴いた

この季節がやってきましたわね。

吹コンまで約半年、皆さん頑張ってください!

 

というわけで、課題曲を聴いた感想を書いていきます。

始めに

公式が出してる参考音源(30秒)

www.youtube.com

いつもは1分聴けたはずだけど今年は30秒。耳コピ編曲MIDIとかにブチギレ案件ということなんですかね。30秒じゃ何もわからないよ~。

例によって今年もプロ集団のWISHやオオサカンが既に動画を上げてます。全国金賞レベルの団体も上げてて凄いです。

ともかく、聴いた感じの好みはⅡとⅣかなと。王道マーチの雰囲気でⅠ、ネームバリューでⅢ選んでもいいくらい正直甲乙付け難い感じはありますがね。

 

 

 

課題曲Ⅰ 行進曲「勇気の旗を掲げて」

作曲:渡口公康

聴いた瞬間の、こてこての古典的マーチ感たっぷり!という感じが伝わってきました。旧友、ワシントン・ポストっぽさといいますかね。そんなに詳しいわけではないけど。

中身の前に題名が少し気になりました。勇気が Brave なんですよね。課題曲マーチはCourage (Courageous)の印象が強かったもので(偏見)。単語の違いを調べるとbraveは行動、courageは感情や精神に対する勇気の意味合いが大きそうです。2014年の行進曲「勇気のトビラ」はCourageous Entry だったり、曲で表現するという意味でcourageが使われると思いきや、 Raise the Banner of Braveはまんま行進曲でした、ということでしょうか。コンサートマーチと軍隊行進曲くらいの違いを感じます。

 

曲の中身については抽象的にですが、中低音どっしり > 高音キラキラ のような感じがしました。スネアガシャガシャシンバルシャンシャンみたいな印象が無くて個人的には好きです(音源によるところはありそうですが)。半音の動きで音の繋がり?方向性?を強調している印象がありました。特に変な事をしていないと書くと語弊がありますが、作曲者コメントに「特別な仕掛けはありませんが基礎基本を問われる」とあり「ほんまや」という感じです。基礎基本が一番難しいということですわ。

トロンボーンは特段難しそうな印象は無く、引っかけの八分だったり、終盤の二分三連がパッと見普通の躓きそうポイント。トロンボーンに限りませんが、行進曲として成立させるために音の形は一層重要になりそうでした。あとは気のせいか、アルペジオの多さが目に留まります。それもあってか音の高低が上から下まで満遍なく並んでる印象で、より基礎が大事そうというところに至ってしまいます。いや何吹くにしたって基礎は大事ですけどね?

余談ですが、他の課題曲に比べて音数が2~3倍くらいあるような…楽譜の物理的な音の大きさが全然違いますよこれ。

 

それと、渡口さんは2011年課題曲Ⅳ「南風のマーチ」の作曲者の方だったんですね。演奏しまして大変お世話になりました。

 

 

 

課題曲Ⅱ 風がきらめくとき

作曲:近藤礼隆

どこか不思議な感じのする曲です。第一印象は静かなオケ曲やオペラの一場面のような感じでしょうか。どういうジャンルの曲に分類されるんでしょうね?

こちらもまた意味深な英語タイトルで Vernal Breezes となっています。vernalは「春の~」。春の風は春風、東風(こち)、春一番など他の季節より一般的に知られている種類が多い印象で、その種類の多さを表現していたり?という予想です。作曲者コメントでは「春光る」という春の季語に触れ、春の到来の喜び、そこに何か光る瞬間が…ということでした。

 

曲の中身に触れるのはなんだか難しいのですが、はっきりとしたメロディ主体で曲を引っ張る、という感じは無く和声の流れが主体のように感じます。スケール的な動きが非常に多く、それに途中から分岐する動きを加えているところも目立ちます。3/4と4/4しかありませんが、不規則に並んでいて不思議な感じに聴こえます。難しいので拍子についてはこれ以上触れないでおきましょう(笑)。

曲頭に「Amaible」とあります。意味は「愛らしく・優しく」。愛らしく聴こえるように吹くってどんなもんなんでしょうね…?あまり難しく考えたら沼な気もするので、中甘口のワインを飲んで気分を味わうのが良いかもしれません。絶対違うか。

トロンボーンは大体3パート揃って同じ動きのようです。スラーやテヌート、強弱の記号も多いので、しっかり読み解けば困りはしない気がします。技術的に難しくない分……まあそういうことだと思います。

 

 

課題曲Ⅲ メルヘン

作曲:酒井格

初見イントロクイズをやったら開始1秒で作曲者を当てられそうな気がしてしまうくらい「酒井格さんの曲だ!」と思ってしまう不思議。あまり関係ないですが、冒頭フレーズ後半の響けユーフォ感がですね以下略。この冒頭だけやって「おしまい」と言わんばかりにすぐ終わらせようと意表を突く感じ良いですね。

メルヘンはドイツで発生した散文による空想的な物語、とのことです。eigo de "fairy tale" 日本語ではおとぎ話、童話と言われるもので、空想的な要素、善悪の要素が主に盛り込まれているそうな。そのような色々な物語を曲中で表現しようとしているのがわかります。

 

作曲者コメントは「想像力を膨らませて様々なメルヘンを」ということでした。曲全体で冒頭フレーズを手を替え品を替え何度も展開していきます。細かくは見てませんがパート譜単位で見ても恐らく同じ表記は無く、毎回違う表現を心掛ける必要があるように思います。音高、アーティキュレーション、速度、強弱色々。

トロンボーンに関しては面白そうな感じがします。いきなり1st2ndだけの場面があったり、中音域メインの箇所で一歩下がったりなど。一応書いてあるとはいえ、それぞれ違いはっきり吹き分けるのには苦労しそうだなあ…という感想です。

 

たなばたを聴いていると「同じ人が作ったんだなあ」感がしてくる不思議。表現が難しいけど、良いぐにゃぐにゃ感が出ている気がします。 

 

 

課題曲Ⅳ フロンティア・スピリット

作曲:伊藤宏武

どこかで見たことある曲名なのは気のせいですかね?例えるなら祝典行進曲「ライジング・サン」とマーチ「ライジング・サン」、もしくはサンライズマーチとサンライズ・マーチ、そういう既視感があります。課題曲一覧でざっと検索かけたけど見つからなかったので多分気のせいかもしれません。

この曲は英語の方に March とあるので多分?マーチです。スピリットは精神、フロンティアは未開の地や領域、分野。転じてパイオニア的存在や行動を指しているんでしょうか?作曲者コメントからは「失敗を恐れず前進する人を讃えたいという意味」とのことでした。

 

個人的なココ好きポイントが、フレーズの終わりかけから急に転調の仕掛けを始めてるところ、とても良きです。中盤と終盤の2回あって、2回目は直後のGrandiosoも感動点。

1回目を見てみるとE♭majorでずんずん来てⅣ→Ⅰ(A♭→E♭)の形、到達地点のA♭majorに行くため同主調のA♭minorでまたⅣ→Ⅰ(D♭m→A♭m)、A♭minorの並行調BmajorでもⅣ→Ⅰ(E→B)、Bの和音のE♭を起点にしてA♭の要素も含んだE♭sus4からA♭に着地で転調完了と見ました。7thを添えてない上に合ってるかは知りません。E♭sus4でE♭に行くと見せかけてるかわかりませんが、それっぽい意図を読み解けた気になっています。うひょー。

転調自体は3回ありますが、どれも仕掛けを作って移っている印象を受けて面白そうと感じました。急にバッと移るのもいいですが、ワンクッション挟んで色々やってるうちに移る方が個人的に好み程度の差です。心が動く雰囲気だったら何でもという極論。

 

作曲者の伊藤さんはビッグバンドやジャズの方面で活躍されているということで、なかなか異色な感じがしますね。因みに委嘱ではないです。曲の中にそういう吹奏楽っぽくない要素とかあるんですかね?

 

 

終わりに

4曲の感想を書きましたが、今年はどれも面白そうな感じがしますね。昨年がつまらなかったわけではないですが、比較的難易度が高めの技術的に難しいものばかりだったので幅はあった方がいいなという印象です。

後は皆さん夏に向けてぼちぼち練習が始まると思いますが、それぞれ頑張りましょうね。

 

というところで、今回はおしまい!